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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (25)正気か否か 浮遊大陸、白の王国、空の真珠、風の国。 詩人にそのように称えられたアルビオン王国は今に無く、取って代わったはずの神聖アルビオン共和国もまた無い。 そこにあるのはありとあらゆる者が死滅し、腐敗し、死に損なって徘徊する黄泉の国。 吐き気を催す邪悪の気配を感じる地、それが現在のアルビオンであった。 かつてはその美しさを歌に謡われた王都ロンディニウム。そしてその王城であるハヴィランド宮殿においてもそれは変わることが無い。 その中枢、王の間。 数少ない生者の一人が、王にのみ座ることを許された玉座に腰掛けていた。 周囲には闇、粘度を持ってこびりつく様な黒が蟠っている。 染み一つ無い真白を纏っているにも関わらず、違和感なく暗黒と同化している男、彼の名はジャン・ジャック・ド・ワルド。 灯によって生まれ変わり、多次元宇宙ドミニアを渡り歩く力を得た存在、プレインズウォーカーの一人である。 数万からなる死者の軍勢を従えた王は言葉を発さない。 だがその顔には、怒りと、苦悩と、そして狂気が刻まれていた。 世界そのものを左右しうる比類無き神の如き力、それを手に入れたワルドが思い煩うことはただ一つ。 (ルイズ……ルイズ、ルイズ、ルイズ、ルイズ、ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ ルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズ 始祖の再誕、虚無の花嫁、次元の姫君、僕のルイズ!」 いつしか想いは何時しか奔流となって、その口から迸っていた。 ワルドにとって唯一つの執着、それはあの若き日の婚約者ルイズ。 彼はただ一人の女性を想い焦がれ、その一挙手一投足にまで思いをはせる。 彼女の瞳、彼女の髪、彼女の指先、彼女の身体、彼女の声、彼女の力、その全てを思い描いたワルドは得も言われぬ恍惚感を感じ……そして激怒した。 「――なぜだ!!??」 石作りの王城に、雷鳴の如き叫びがこだまとなって響き渡る。 返事をするものはいない。 そもそも、この城において生きることを許されたものは、彼を除けば二人しかない。 そしてその二人はこの場に居合わせておらず、ならば答えるものなどいるはずが無い。 「なぜだルイズ! なぜ君は僕を分かろうとしない!? なぜだなぜだなぜだ!?」 体から溢れ出た魔力が衝撃となって四方へと伸び、周囲の床がびしりと音を立ててひび割れた。 「僕はこんなにも君を愛しているというのに! なぜ君は受け入れようとしない!」 猛り狂う感情が魔力の放出に拍車をかけ、床や壁から細かな破片が飛び散る。 そう、ジャン・ジャック・ド・ワルドはルイズ・ド・ラ・ヴァリエールを、深く深く愛していた。 トリステインへの侵攻を企てていた神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルを真っ先に抹殺したのも、それを唆していたシェフィールドを葬ったのも全ては彼女の為。 虚無の担い手であるルイズに対して良からぬことを企てていたガリア王ジョゼフを誅殺したのも彼女の為。 両国を利用し、トリステインへと宣戦布告したのも、ゲルマニアを制圧したのも、ロマリアと交渉し不干渉を取り付けたのも全ては彼女を手に入れる為。 少々の予定外はあったが、何もかも彼女の為。どのような手段を用いてもルイズ個人を手に入れる為に起こした行動なのであった。 全ての戦争、全て争い、現在起きている全ての混乱、悲劇、憎しみ、悲しみは、一切がルイズという個人に帰結するものであった。 自分自身の愛の深さをルイズに示し、そして彼女の全てを手に入れる。 その為にもまずはトリステインという国を人質にして、その身を手に入れる。 そうしてからじっくりとルイズと心を通じ合わせるつもりでいた。 彼女が自分を愛するようになるまでは時間がかかるかもしれない、だが必ず分かってくれると思っていた。 ――だがどうだ? 彼女が自分を見る目は怯えしか宿していなかったのではいか?―― 握り締めた拍子に、玉座の縁が砕け散った。 「……違う」 そうだ、悪いのはあの男だ。 あの男がルイズの傍に立って、彼女を誑かしているのだ。 ウルザがルイズと自分の間に障壁となって立ちはだかっているのだ。 確かに、四千年もの年月を積み重ねたウルザの力は強大だ。 『転生』したばかりの存在である自分とは比べ物にならないほどの力や知識、技術を有しているだろ。 だがそれが何だと言うのだ。屈してなるものか。 あれは亡霊だ、過去に取り付かれた悪鬼だ。 未来を紡ぐ事ができない、ただの狂人だ。 過去を振り返るしか能の無い老人は死ね、未来を生きる自分に道を譲って死ね。 死ね 死ね死ね 死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね ワルドの瞳が朱に輝く。 そのとき、ふいに闇の中、影が動いた。 一つではない。 一つ、二つ、三つ、四つ、五つ。否、正しくは五人。 闇に紛れ姿を隠した黒装束の男達。 それまで潜んでいた彼らは、錯乱したかのようなワルドの様子を好機と受け取ったのか、殺気を隠さず襲いかかった。 暗闇に生きる彼らにとって視界を閉ざす黒は障害になり得ない。 そこすでに必殺の間合い。 けれど、彼らは読み誤った。 闇こそはワルドの化身。 その姿を捉えることなど、今の彼にとっては児戯より易い。 王座に座ったままのワルドが、右の手首を払う。 それだけで一人目の暗殺者の上半身が文字通り闇に食われ、消滅した。 ――殺してやる―― 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 左手で虚空を握りつぶす。 飛びかかろうとしていた二人目の暗殺者が、石榴のように赤く弾けた。 ――僕とルイズの未来のために―― 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 仲間の屍を踏み越え肉薄した暗殺者が、大振りなナイフをワルドの心臓へと突き立てようとする。 刃が触れた途端、三人目は時間を早送りされたように腐敗し朽ち果て、そして砂となって崩れ落ちた。 ――貴様は死ね―― 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね ワルドが朱色の軌跡を残しながら正面を向いた。 不運にも視線を正面から見てしまった哀れな四人目は、その瞬間に心臓を停止した。 ――そして彼女を手に入れる―― 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 慌てて逃げようとする最後の一人に、ワルドは一言呪いの言葉を呟いた。 その瞬間、五人目には永遠に逃れることのできない狂気と、慈悲深い緩慢なる死が約束された。 ――待っていろ、プレインズウォーカー・ウルザ―― 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 今なら分かる。人間とプレインズウォーカー、その存在としてステージの違いを。 人がプレインズウォーカーに挑むというのは、蟻が人に挑むことに似ている。 どれだけ粋がったところで、下等な虫けらが人間に挑むなど滑稽でしかない。 人の身でどれほどの修練を積み、どれほどの技を身につけたとしても、プレインズウォーカーに敵うはずがない。 思い出されるのはラ・ロシェール、そしてニューカッスル城、二つの戦い。 人間ワルドがプレインズウォーカー・ウルザに挑んだ。 なんと滑稽なことだろう。自分はあのとき八つ裂きにされ、磨り潰され、塵芥に分解され、次元の彼方へと追放されてもおかしくなかった。 けれどあの老人はそれをしなかった、わざわざその力を抑え人としての身で自分と戦った。 ――憎い―― それは余裕の表れか、滑稽な余興のつもりだったか、それとも人の身であった自分への哀れみか。 どれにしろ、あの男は自分を高みから見下していたのだ。 だが、自分は力を手に入れた。あのときとは違う。 足りない力は補えばいい、そうして自分は今度こそあの男を同じ目線で戦うことができる。 先の戦いでは邪魔が入ったが、次こそはあの男を十全の力をもって葬り去ろう。 そうしてルイズを手に入れるのだ。 再び一人になった闇の中、ワルドがおかしそうにくつくつと声を殺して嗤う。 暗殺者達の死体は、既に痕跡すら残さず消え去っていた。 ルイズを求めるワルド。 だが、彼は気づいているのだろうか? その考えが、ところどころ破綻をきたしていることに。 そもそも、本来は目的の為の手段としてルイズを手に入れようとしていたことを覚えているのだろうか。 彼の胸元で、ペンダントが虚しく揺れていた。 小さな吐息が聞こえる。 人々が寝静まった静寂の時間、部屋には二人の姿。 一人はベットの中で安らかに眠るルイズ、そしてもう一人は机に向かうウルザ。 彼は机の上に置かれたランプの灯りを頼りに、開かれた本に淀みなくペンを走らせている。 そうして彼は今、手先を細かく動かしながらも別のことを考えていた。 思索に耽っているのはルイズの病についてのこと。 進行性変性症候群。 それが彼女を蝕む病の名であった。 その病こそは古代スラン文明の文献・伝承に繰り返しその名を語られる不治の病『ファイシス症』に違いなかった。 曰くファイシス症に侵された者は、身体の内外から腐り果て、やがては死に至る。 そして、その治療法は見つかっていない、昔も、今も。 ルイズが眠っている間に様々な検証を行った、だが、得たものは少ない。 手にできたものは、大きな確証に小さな進歩。 ルイズの身に起きている異変がファイシス症の急性発症であるとの確証と、ウルザの力を持ってしてもその病を取り除くのは不可能だという事実。 古代スラン文明において、パワーストーンに長期間接することで発症するとされたファイシス症、なぜそれが彼女に発症したかについては、彼なりにいくつかの推測を立てていた。 その中でも、これまで彼女が何度も示してきたパワーストーンへの高すぎる順応性が仇となったのではないかとの仮説が有力であるのだが、今更それを抑制したとしても発症した病の治癒には繋がらない。 実のところ、ウルザ自身もファイシス症の患者を実際に目にするのはこれが初めてとなる。 パワーストーンに支えられていた古代スラン文明が崩壊してすでに七〇〇〇年、力を残すパワーストーンそのものが希少である為、それに由来するファイシス症の患者は長く確認されていない。 かつてトレイリアのアカデミーにおいてこの分野についても研究が進められていたが、ウルザ自身はそのような研究に興味を惹かれなかった為深くは関わらなかった。 このことが今となっては悔やまれるとは当時は思っても見なかった。 あるいは家族を弔うべく、トレイリアをまきの山と化したバリンであったならば、何かを知っていたかもしれない。 ウルザ自身はあくまでアーティフィクサー、役割で言うなら魔術的なことはバリンが受け持つというのが、ここ千数百年の習慣だった。 息を吐き、絶え間なく動かしていたペンの動きが止まる。 バリンを、友であり、良きパートナーであり、そして最後は復讐にとりつかれたドミナリア最強のウィザードを思い出し、しばし思考と指先を停止させた。 ファイシス症の最もやっかいな点は、魔法による治療が不可能であるという一点に尽きる。 その治療に有効とされる方法は、彼の知識の内には外科的なアプローチの他にない。 あるいはバリンの知識があったとしても、彼には何も手が打てなかったかもしれない。 そういう意味では、この場にいるウルザこそが治療には相応しいと言える。 しかし、このプレインズウォーカーを持ってしても、決定的に欠けているものがある。 それはデータだ。 現在ウルザはルイズに対して、投薬による治療を続けている。 魔法を一切使用しない、科学的な薬剤療法。これは確かに魔法による治療に比べれば格段の効果が認められた。 実際に彼女は起きて話していたし、暫くすれば立って歩くことも可能だろう。 だが、それは目に見える外面の部分だけである。 彼女の体の内部や末端神経、そういった部分は確実に病魔は蝕まれている。そのことは彼女自身にもすでに自覚症状となって現れているに違いない。 やはり、投薬による治療には限界があると言わざるを得なかった。 ならばなぜ、このような効果の薄い治療を続けているのか、それは臨床データの決定的な不足に起因していた。 外科的治療を行うにしろ投薬治療を続けるにしろ、限られた時間の中でこれ以上の進展を求めるなら、臨床データの入手が急務といえる。 そして、現在のハルケギニアでそれが手にはいるとすればただ一つ。 思考を閉じて、再びペンを走らせる。 閉じれば厚さが拳一つ分はあろうかという本、そのページに超人的な速度で文字が躍る。 間断なく書き綴られていくのは、現在この世界で読み書きされる二種の文字、ルーン文字と公用文字。 ハルケギニアのメイジなら誰でも簡単に読み進められるそれで、ウルザは自身が知るドミニアの魔法とその理論とをびっしりと書き込んでいく。 ウルザの手によるそれは、この世界で初となるハルケギニアのメイジ向けに書かれたマナを用いた実践魔術書と言えるものだった。 今は白、緑、赤、青、黒、五色のマナについての項目を記述しているところであった。 膨大な紙面を割いて理論を説明し、マナの練り方と土地からの供給法、そして基本的ないくつかの魔法を書き記した。 治癒の軟膏/Healing Salveの作成法、巨大化/Giant Growth、ショック/Shock、ぐるぐる/Twiddleの使用法、暗黒の儀式の秘術。 基礎から応用、実践までを一冊に纏めた教導書であり、魔術書でもあり、秘本でもあるそれは、ただ一人のために書かれている。 ルイズを救う為の方法の一つ、その為の下準備としてウルザは書を記す。 試せる手段があるなら、それがたとえどの様な犠牲を払うこととなろうとも、ウルザはそれを試すつもりでいた。 そのことに対してルイズ自身がどのような感情を抱くとしても。 プレインズウォーカーには狂気が宿る。 久遠の闇からの祝福を受け、多次元宇宙ドミニアを渡る力を持ち、神の如き力と強大な魔力を有するプレインズウォーカー。 しかし、彼らは多かれ少なかれその身の内に、必ず狂気の種子を持っている。 故に、彼らの正気の度合いを測るのは難しい。 狂っているって?狂っているとしたら、それはお前自身だ。 ―――ワルドからウルザへ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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《キャット・ガール・マジシャン》 エクシーズ・効果モンスター ランク4/光属性/魔法使い族/攻 2000/守 1800 レベル4モンスター×2 このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。 このカードの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にし、 このターンこのカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。 使用キャラクター キャッシー タグ一覧 エクシーズモンスター キャット
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―――280年12月下旬 ―――北海・政庁 その男は。とことん、影が薄かった。 後ろを歩いていても気づかれない。 政務をしていても気づかれない。 訓練の指導をしている時ですら、兵士達は気にも止めはしない。 もはや、存在感が薄い、などという言葉では済まされない次元の影の薄さなのである。 それは資質なのか、ある種の能力とでも言うべきなのか。 実際問題としては後者であるのだが、彼がそういった『才能』に恵まれていたのは紛れもない事実であった。 「孔融様」 「うお!?…な、なんじゃ王修か。 相変わらず影が薄いのう…」 己の使えるべき主にそんなことを言われても、彼―――王叔治の表情は揺るがない。 「歓談の中、失礼を承知でお伺いいたします。 この件についてご判断を」 「ふむ?…うむ、金は港の維持にまわせ。 とはいえ、使い道を縛らなければ、無用の金となる。 留意せよ」 「は。仰る通りに」 言葉と共に、王修は主に向かって一礼。 かくて、彼の姿は掻き消える。 「失礼、少々連絡に時間がかかってしまいました…おや、今、誰かいましたか」 「いや、誰もおらんよ」 目の前で会話していてさえ、この有様である。 苦笑しつつ、孔融―――王修の主は、懐に奇怪な形の『連絡用の道具』をしまった、やはり奇妙な格好をした客人の言葉に応じる。 「それで、孔融殿。 北海の政庁にいらっしゃるウィザード…王修叔治とは、どなたの方のことでしょうか。 どうやら、我々の組織が連絡を取れたのは、彼らしいのですが」 孔融は、さらに笑みを深くする。 「後ほど紹介しよう。 ところで、魔法使い殿。 秘事は睫とはよく言ったものだと思わんかね?」 「…は?」 孔融の客。 奇妙な仮面をかぶった男は、何を言われたのかわからず、ほうけたように口を空けた。 ―――280年12月下旬 ―――北海・政庁 「聞いたか? 化け物が下ヒに出たって話」 「いや、なんか兵として利用してるとかなんとか」 「俺は、三、四人の女が急に登用されたとか聞いたけどな。 で、化け物どもはその女たちに連れられてきたとか」 「はは、嘘に決まってんだろ」 「だよなあ…でも割と耳にするんだよ」 他愛もない噂話。 だが、そんな噂話に、王修は背筋を凍らせていた。 ―――下ヒまでも、か? 『世界は、狙われている』。 そんな言葉を、今更のように王修は思い出していた。 世界は、別の世界からの侵略を受けている。 王修は、それを幼いころから常識として学ばされていた。 この世界―――中華の「外」を含めた世界、すなわち「地球」の、さらに外界。 そこには、「地球」の豊富な資源を狙う者達がいるのだという。 「侵魔」と呼ばれる侵略者たちは、地球を覆う結界に侵入し、命を食らうのだという。 事実、王修自身も、幾度か侵魔とあい見えたこともある。 たった一度の例外を除いては、ほとんどが力の弱い存在ではあったが、彼は、百を超える侵魔を滅ぼしてきた。 そもそも、青州周辺の「侵魔」の掃討こそが王修の本当の仕事であり、北海太守孔融が部下、膠東侯国令の肩書きのほうが隠れ蓑なのである。 とはいえ、現実は少々異なっている。 世は乱世。孔融は、孔子の子孫だけあって確かに頭は切れるが、形骸的な方策を好み、武に関してはからっきしだ。 王修自身の生真面目さと、孔融の頼りなさが、王修を侵魔の掃討の合間に、政務に走らせる羽目となってしまっているのだった。 話は逸れたが。 とにかく、世界は絶え間ない侵攻に晒されている。 知る者がいようといまいと、それだけは絶対の事実なのである。 そして、その現実を知っているからこそ、王修は嫌な予感が止まらなかった。 各地のウィザード―――侵魔を滅ぼす者達―――と連絡が取れなくなっているという事実。 遠方から来る人々の口の端に上る、「化け物」の単語。 自分が所属するウィザード組織における、上司からの連絡。 それらの情報は、本来大衆に知られるはずのない「侵魔」の侵攻が、表に見える形で急速に進んでいるということを示唆していた。 「…けど、その規模の侵攻だったら、僕にお呼びがかかる前に、他のウィザードに声がかかるか。 それこそ、荊州四英傑とか」 嫌な予感を打ち消すため、そんな言葉を口にしたが、より悪い予想が、王修の頭の中をよぎる。 あるいは、自分の隣の屋敷に住んでいる「人造人間」も動員されるかもしれない。 そのことを考えると、ちり、と頭の中で音が鳴った気がした。 「王修、いいかのう?」 そこでやっと我に返った。 目の前にいたのは、彼の主である孔融だった。 慌てて立ち居振舞いをただす。 「は!なんなりと」 「ま、そんな堅くならずともよい。 客人から、お主宛にじゃ」 二重の意味で意外な言葉に、王修は戸惑った。 「は…? そんな、孔融様御自ら私に手渡す必要は」 「それが客人の意向でな。 至急目を通すように、とのことじゃぞ」 言われて、王修は素直に書簡を開く。 そこには、いくつものことが書かれていたが―――特に目を引いたのは、この一文だった。 『今からする私のお願いに、はいかYesでお返事してください』 間抜け、とも言える文言である。 体中から緊張感がになくなる。 なんでこんなものを孔融様に運ばせる羽目になったのだろう、と王修は溜息をつく。 だが、その溜息は、書簡の最後の言葉で一瞬にして消え去った。 『世界の守護者 アンゼロット』 息が止まる。 疑問が頭を駆け巡る。 自分のような下位のウィザードに、彼女のような存在から声がかかることなどあるはずがない。 だがしかし。 客人のあの仮面は、確かに――― 「どちらにせよ、北海は護ってもらうぞ、王修」 ―――疑問は、主の声で消え去った。 まるで、見通したような主の言葉。 孔融は、すべてを知っていて、言っているのだろう。 そう。どちらにせよ、自分のやるべきことはただひとつ。 主が治め。 民が住み。 そして、自分の愛すべき隣人がいるこの地を護るために。 「は。一命に変えましても」 『忍者』王修叔治は、身命を賭してこの度の戦に臨むことを決意した。 ―――280年12月下旬 ―――北海周辺 空を、見ていた。 落日の空は紅く。 夕暮れ時に、食事の匂いがする。 帰るべき家は「ご主人様」 帰るべき家は遠「ご主人様。お腹、すいた」 「………」 言葉を噤んだ少年の瞳に移っていたのは遠い日の幻か。 それとも美しいあの日々の思い出か。 どちらにせよ。というかどちらでも同じだが。 少年の隣にいる少女は、少年の現実逃避を許さなかった。 「…ご主人様?」 「うん、わかってるんだ、恋。 でも、少しくらい感傷に浸らせてくれても」 「ごはん」 いくら二度目だからって慣れるもんじゃない。 慣れてたまるか。 せっかく皆の食費を稼ぐ算段やら、学園生活やらが軌道に乗ったところだったのに。 翠と鈴々の暴れっぷりやら、星の傍若無人っぷりやらも少し―――ほんの少し、緩やかになったのに。 華琳の我侭にも、愛紗の小言にも我慢してきたはずなのに。 「……畜生―――――――!?」 叫ぶ声に答えるのは。 「………………?」 どうしたの、とでも言いたげな少女の顔。 ああ、わかってる。わかってるんだよ恋。 俺だって今すぐたらふくご飯を食べさせてあげたいさ! そうさ、あのはふはふごっくんはむはむぱくぱく可愛いぞ畜生!とか心の中で叫びつつ至福の時を謳歌したいさ!! でもこの状況がこれを許さないんだ! そもそもお前の悪癖が貧乏の原因だろうが! 恋の食費がどのくらい家計を圧迫しているかわからないあなたじゃないでしょう、一刀! ああ、わかってる、でもわかってくれ蓮華!思春! この可愛さの前には家計が赤字だってこともつい忘れて餌付けに走ってしま「ご主人様、危ない」 「…!?」 少女が、少年の前に立つ。 そこで、やっと彼は正気に戻る。 少年を正気に戻したのは、少女の行動も含めた、どこか懐かしい気配。 いや。懐かしいというにはあまりにも、短い期間ではあった。 ほんの数ヶ月。 たった数ヶ月離れていただけの、戦場の気配。 かつて、「外史」の世界において散々味わった、あの気配が、場を包んでいた。 「これは…」 「……わからない。でも、危ない」 少女は言葉と共に、拳を構える。 彼女に許された武器は己の体のみ。戦場を共に駆け抜けてきた伝説の武具は、今はない。 仕方ないことではあった。 少女と少年は、「この世界」にくる直前に、床を共にしていたのだから。 「なんなんだ…何かいるのか、恋」 「…………………………」 こくり、と頷く少女。 目を走らせれば、気配だけでなく、景色そのものが変化していた。 夕焼け、というにはあまりにも紅い空。 そして、有り得ざる紅い―――紅い、月。 それまでいた、街道はなくなり、荒廃した土地が広がっている。 少年にとって、生涯二度目となる異世界への訪問。 そして、再び巻き込まれる、戦乱の世界。 戦の幕明けは、獣の吼声だった。 ← Prev Next →
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オニキス・ウィザード レア度 ★2 レベル 1 MAX(99) Aスキル 黒の医療魔術() 進 化 素 材 ― コスト ― HP 246 ― Lスキル なし ― タイプ ― 攻撃力 201 ― ショット性能 1WAY/2連射/貫通 ― クラス 魔術師 回復力 79 ― 進化元 ― ― No.90 属性 闇 EXP XX ― 進化先 ― ― 編集 入手方法 フラゲガチャ 売却価格 XXX ― 個別データ セリフ ククク‥闇の魔法により全てを邪悪に包まれた負の世界へ。 ―
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ウィザード/ソーサラー呪文 Sorcerer/wizard Spells 訳注:(物)(焦)はそれぞれ高価な物質要素、焦点が必要ということを示す。 + 目次 10レベル・ウィザード/ソーサラー呪文(初級秘術呪文) 1レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 2レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 3レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 4レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 25レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 6レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 7レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 8レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 9レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 0レベル・ウィザード/ソーサラー呪文(初級秘術呪文) 幻術 ゴースト・サウンド:幻の音。 召喚術 アシッド・スプラッシュ:酸の球体で1d3の[酸]ダメージを与える。 死霊術 タッチ・オヴ・ファティーグ:近接接触攻撃で疲労状態にする ディスラプト・アンデッド:アンデッドに1d6ダメージを与える。 ブリード:容態安定状態の対象を瀕死状態にする。 心術 デイズ:4HD以下の人型生物は次のアクションを失う。 占術 ディテクト・ポイズン:1体のクリーチャーか小さな物体1つの毒を感知する。 ディテクト・マジック:60フィート以内の呪文や魔法のアイテムを感知する。 リード・マジック:巻物や呪文書を読む。 総合術 アーケイン・マーク:個人を表すルーンを物体やクリーチャーに刻む(可視/不可視)。 プレスティディジテイション:ちょっとした奇術を行なう。 変成術 オープン/クローズ:小さなものや軽いものを開け閉めする。 メイジ・ハンド:5ポンドの念動力。 メッセージ:遠く離れた相手と囁きで会話。 メンディング:物体1個の小さな破損を修理する。 防御術 レジスタンス:対象はセーヴィング・スローに+1を得る。 力術 ダンシング・ライツ:松明やその他の明かりを作り出す。 フレア:クリーチャー1体を目が眩んだ状態にする(攻撃ロールに-1)。 ライト:物体を松明のように輝かせる。 レイ・オヴ・フロスト:光線で1d3の[冷気]ダメージを与える。 1レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 ヴェントリロキズム:1分/レベルの間、声を放つ。 カラー・スプレー:弱いクリーチャーに気絶状態や盲目状態や朦朧状態にする。 サイレント・イメージ:術者の望むちょっとした幻影を作り出す。 ディスガイズ・セルフ:術者の外見を変える。 マジック・オーラ:物体の魔法のオーラを変化させる。 召喚術 アンシーン・サーヴァント:不可視の力が術者の命令に従う。 オブスキュアリング・ミスト:術者の周囲を霧で覆う。 グリース:一辺10フィートの正方形の範囲か1つの物体を滑りやすくする。 サモン・モンスターI:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 マウント:2時間/レベルの間、乗用馬を呼び出す。 メイジ・アーマー:+4の鎧ボーナスを与える。 死霊術 コーズ・フィアー:5HD以下のクリーチャー1体を、1d4ラウンドの間、逃走させる。 チル・タッチ:1回/レベルの接触で1d6ダメージと可能なら1【筋力】ダメージ。 レイ・オヴ・エンフィーブルメント:光線で1d6+1/2レベルの【筋力】ダメージ。 心術 スリープ:4HDのクリーチャーを魔法の眠りに落とす。 チャーム・パースン:1人の人物を術者の友とする。 ヒプノティズム:2d4HDのクリーチャーを恍惚状態にする。 占術 アイデンティファイ:魔法のアイテムの性質を明らかにする際に+10のボーナス。 コンプリヘンド・ランゲージズ:すべての言語を理解する。 ディテクト・アンデッド:60フィート以内のアンデッドを感知する。 ディテクト・シークレット・ドアーズ:60フィート以内の隠し扉を感知する。 トゥルー・ストライク:術者の次の攻撃ロールに+20。 変成術 アニメイト・ロープ:ロープ1本を術者の命ずるままに動かす。 イレイズ:通常の文字や魔法的な文字を消し去る。 エクスペディシャス・リトリート:術者の移動速度が30フィート上昇する。 エンラージ・パースン:人型クリーチャーを2倍のサイズにする。 ジャンプ:対象は〈軽業〉判定に幾つかのボーナスを得る。 フェザー・フォール:物体やクリーチャーはゆっくりと落下する。 マジック・ウェポン:武器は+1ボーナスを得る。 リデュース・パースン:人型クリーチャーを半分のサイズにする。 防御術 アラーム:効果範囲を2時間/レベルの間監視する。 エンデュア・エレメンツ:熱くても寒くても快適に過ごせる。 シールド:不可視の円盤でACに+4、さらにマジック・ミサイルを防ぐ。 プロテクション・フロム・イーヴル/グッド/ケイオス/ロー:選択した属性に対してACとセーヴに+2、その他の防御効果。 ホールド・ポータル:扉を閉めて固定する。 力術 ショッキング・グラスプ:近接接触攻撃で1d6/レベルの[電気]ダメージ(最大5d6)。 バーニング・ハンズ:1d4/レベルの[火]ダメージ(最大5d4)。 フローティング・ディスク:100ポンド/レベルを保持する直径3フィートの水平な円盤を作る。 マジック・ミサイル:1d4+1ダメージ、1を超える2レベルごとに1本増える(最大5本)。 2レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 インヴィジビリティ:対象は1分/レベルか、あるいは攻撃するまで不可視状態となる。 ヒプノティック・パターン:(2d4+レベル)HDのクリーチャーを恍惚状態にする。 ファントム・トラップ(物):物体を罠があるように思わせる。 ブラー:対象に対する攻撃は20%の確率で失敗する。 マイナー・イメージ:サイレント・イメージと同様だが、音声が加わる。 マジック・マウス(物):作動したときに1度だけしゃべる。 ミスディレクション:1体のクリーチャーや1個の物体に対する占術に偽の情報を与える。 ミラー・イメージ:術者とそっくりな囮を作り出す(1d4+1体/3レベル、最大8体)。 召喚術 アシッド・アロー:遠隔接触攻撃で2d4ダメージを1+1ラウンド/3レベルの間与える。 ウェブ:敵を捕らえ移動を阻害する粘着質の蜘蛛の糸で半径20フィート拡散の範囲を覆う。 グリッターダスト:クリーチャーを盲目状態にし、不可視状態のクリーチャーの姿を浮き出させる。 サモン・スウォーム:バット・スウォーム、ラット・スウォーム、スパイダー・スウォームを召喚する。 サモン・モンスターII:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 フォッグ・クラウド:霧で視界をさえぎる。 死霊術 グール・タッチ:対象を麻痺状態にし、さらに周囲を不調状態にする悪臭を放つようにする。 コマンド・アンデッド:アンデッド・クリーチャーを術者の命令に従わせる。 スケアー:6HD未満のクリーチャーを恐慌状態にする。 スペクトラル・ハンド:接触攻撃を運ぶ非実体のゆらめく手を作る。 フォールス・ライフ:1d10+1/レベル(最大+10)の一時的ヒット・ポイントを得る。 ブラインドネス/デフネス:対象を盲目状態か聴覚喪失状態にする。 心術 タッチ・オヴ・イディオシー:目標は【知力】【判断力】【魅力】に1d6ペナルティを受ける。 デイズ・モンスター:6HD以下の生きているクリーチャーは次のアクションを失う。 ヒディアス・ラフター:対象は1ラウンド/レベルの間、アクションを失う。 占術 シー・インヴィジビリティ:不可視状態のクリーチャーや物体を見ることができる。 ディテクト・ソウツ:表面的な思考を“立ち聞き”できるようになる。 ロケート・オブジェクト:物品(個々のものやある種類のもの)のある方向を感知する。 変成術 アウルズ・ウィズダム:対象は1分/レベルの間、【判断力】に+4を得る。 イーグルズ・スプレンダー:対象は1分/レベルの間、【魅力】に+4を得る。 ウィスパリング・ウィンド:1マイル/レベルまで短い伝言を送る。 オルター・セルフ:小型あるいは中型サイズの人型生物1体の姿をとる。 キャッツ・グレイス:対象は1分/レベルの間、【敏捷力】に+4を得る。 スパイダー・クライム:壁や天井を歩く能力を与える。 ダークヴィジョン:完全な暗闇でも60フィート見える。 ノック:施錠された、または魔法的に封印された扉を開く。 パイロテクニクス:火をまぶしい光か息の詰まる煙に変える。 フォクセス・カニング:対象は1分/レベルの間、【知力】に+4を得る。 ブルズ・ストレンクス:対象は1分/レベルの間、【筋力】に+4を得る。 ベアズ・エンデュアランス:対象は1分/レベルの間、【耐久力】に+4を得る。 メイク・ホウル:物体を修理する。 レヴィテート:対象は術者の示したほうに上下する。 ロープ・トリック:8体までのクリーチャーを別次元に隠す。 防御術 アーケイン・ロック(物):門や箱を魔術的に閉ざす。 オブスキュア・オブジェクト:念視から物体を隠す。 プロテクション・フロム・アローズ:目標は遠隔攻撃に対してDR10/魔法を得る。 レジスト・エナジー:特定のエネルギー種別のダメージをそれぞれ10ポイント(またはそれ以上)無効化する。 力術 ガスト・オヴ・ウィンド:小さなクリーチャーを吹き飛ばしたり打ち倒す風。 コンティニュアル・フレイム(物):熱のない永続的な光を作る。 シャター:音波振動で物体や結晶質のクリーチャーにダメージを与える。 スコーチング・レイ:遠隔接触攻撃で4d6の[火]ダメージを与える。光線は3レベルごとに1本増える(最大3本)。 ダークネス:半径20フィートの超自然的な闇。 フレイミング・スフィアー:転がる炎の玉が3d6の[火]ダメージを与える。 3レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 イリューソリイ・スクリプト(物):意図した相手しか解読できない文字。 インヴィジビリティ・スフィアー:10フィート以内の全員を不可視状態にする。 ディスプレイスメント:対象に対する攻撃は50%の確率で失敗する。 メジャー・イメージ:サイレント・イメージと同じだが、音声・匂い・温度の効果が加わる。 召喚術 サモン・モンスターIII:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 スティンキング・クラウド:吐き気がする状態にする蒸気、1ラウンド/レベル。 スリート・ストーム:視覚と移動を妨げる。 セピア・スネーク・シジル(物):読んだものを動けなくする蛇の形をした文字の印を作り出す。 ファントム・スティード:魔法のホース(馬)が1時間/レベルの間、現われる。 死霊術 ヴァンピリック・タッチ:接触攻撃で1d6/2レベルのダメージ、術者は与えたダメージと同量の一時的hpを得る。 ジェントル・リポウズ:死体1つを保存する。 ホールト・アンデッド:1ラウンド/レベルの間、アンデッドを身動きできなくする。 レイ・オヴ・イグゾースチョン:対象を過労状態にする光線。 心術 サジェスチョン:対象が命じられたように行動するよう強制する。 ディープ・スランバー:10HDのクリーチャーを眠りに落とす。 ヒロイズム:攻撃ロール、セーヴ、技能判定に+2を与える。 ホールド・パースン:1ラウンド/レベルの間、1体の人型生物を麻痺状態にする。 レイジ:対象は【筋力】と【耐久力】に+2、意志セーヴに+1、ACに-2を得る。 占術 アーケイン・サイト:術者は魔法的なオーラが見えるようになる。 クレアオーディエンス/クレアヴォイアンス:1分/レベルの間、離れた場所のできごとを見るか聞くかする。 タンズ:すべての言語を話し、理解する。 変成術 ウォーター・ブリージング:対象は水中で呼吸できるようになる。 ガシアス・フォーム:対象は非物質状態になり、ゆっくりと飛行できる。 キーン・エッジ:武器のクリティカル可能域を2倍にする。 グレーター・マジック・ウェポン:武器は+1/4レベル(最大+5)のボーナスを得る。 シークレット・ページ:1ページを変化させ、本当の内容を隠す。 シュリンク・アイテム:対象は16分の1のサイズに縮む。 スロー:1体/レベルの対象は1ラウンドに1アクションしかとれず、AC、反応セーヴ、および攻撃ロールに-1される。 ビースト・シェイプI:術者は小型か中型の動物の姿といくつかの能力を得る。 フライ:対象は60フィートの飛行移動速度を得る。 ブリンク:1ラウンド/レベルの間、術者はランダムに姿を消したり現わしたりする。 フレイム・アロー:矢は追加で+1d6ポイントの[火]ダメージを与える。 ヘイスト:1体/レベルのクリーチャーは素早く動けるようになり、攻撃ロール、AC、反応セーヴに+1を得る。 防御術 エクスプローシヴ・ルーンズ:読まれたときに6d6ダメージを与える。 ディスペル・マジック:1つの魔法の呪文や効果を打ち消す。 ノンディテクション(物):対象を占術、念視から隠す。 プロテクション・フロム・エナジー:1種類のエネルギーのダメージを12ポイント/レベルだけ吸収する。 マジック・サークル・アゲンスト・イーヴル/グッド/ケイオス/ロー:10分/レベルの間、半径10フィートにプロテクション呪文と同様の効果。 力術 ウィンド・ウォール:矢、小さなクリーチャー、ガス類を防ぐ。 タイニイ・ハット:10体のクリーチャーの入れる避難所を作る。 デイライト:半径60フィートの明るい光。 ファイアーボール:半径20フィートに1d6ポイント/レベルの[火]ダメージ(最大10d6)。 ライトニング・ボルト:1d6ポイント/レベルの[電気]ダメージ(最大10d6)。 4レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 イリューソリイ・ウォール:実物のような壁、床、立方体だが、通り抜けられる。 グレーター・インヴィジビリティ:インヴィジビリティと同様だが、対象は攻撃しても不可視状態のままでいることができる。 シャドウ・カンジュレーション:4レベル未満の召喚術を真似るが、その術は20%だけ実在する。 ハリューサナトリ・テレイン:1種類の地形を別の地形に見せかける(平原を森林に、など)。 ファンタズマル・キラー:恐ろしい幻影が対象を殺す、もしくは3d6のダメージを与える。 レインボー・パターン:光が24HDぶんのクリーチャーを恍惚状態にする。 召喚術 サモン・モンスターIV:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 セキュアー・シェルター:頑丈な小屋を作り出す。 ソリッド・フォッグ:視界を妨げ、移動を遅くさせる霧。 ディメンジョン・ドア:術者を短距離だけ瞬間移動させる。 ブラック・テンタクルズ:触手が20フィート拡散の範囲内のクリーチャー全てに組みつく。 マイナー・クリエイション:布や木製品1つを作り出す。 死霊術 アニメイト・デッド(物):死体からスケルトンやゾンビなどのアンデッドを作り出す。 エナヴェイション:対象は1d4の負のレベルを負う。 コンテイジョン:対象は選択した病気にかかる。 ビストウ・カース:能力値1つに-6;攻撃ロール、セーヴ、判定に-4;全ての行動に50%の失敗確率、のいずれか。 フィアー:円錐内の対象は1ラウンド/レベルの間逃げ出す。 心術 クラッシング・ディスペア:対象は攻撃ロール、ダメージ・ロール、セーヴ、判定に-2を被る。 コンフュージョン:1ラウンド/レベルの間、対象に変な行動を取らせる。 チャーム・モンスター:術者が味方であるとモンスターに信じ込ませる。 レッサー・ギアス:7HD以下の対象に命令を出す。 占術 アーケイン・アイ:1ラウンドに30フィート移動する不可視の浮遊する眼。 スクライング(焦):離れた対象を観察する。 ディテクト・スクライング:魔法による立ち聞きを術者に警告する。 ロケート・クリーチャー:よく知っているクリーチャーの方向を指し示す。 変成術 エレメンタル・ボディI:術者は小型のエレメンタルに変身する。 ストーン・シェイプ:石をどんな形にでも彫刻する。 ニーモニック・エンハンサー:ウィザードのみ。追加で呪文を準備するか発動した呪文をそのまま保持できる。 ビースト・シェイプII:術者は超小型か大型の動物の姿といくつかの能力を得る。 マス・エンラージ・パースン:1体/レベルの人型クリーチャーを2倍のサイズにする。 マス・リデュース・パースン:リデュース・パースンと同様だが、1体/レベルの人型クリーチャーに発動する。 防御術 ストーンスキン(物):DR10/アダマンティンを与える。 ディメンジョナル・アンカー:次元間の移動を妨げる。 ファイアー・トラップ(物):物体が開かれたときに1d4+1/レベルのダメージを与える。 リムーヴ・カース:物体や人を呪いから解放する。 レッサー・グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ:1から3レベルの呪文の効果を防ぐ。 力術 アイス・ストーム:直径40フィートの円筒形の範囲にひょうで5d6ダメージを与える。 ウォール・オヴ・アイス:氷で壁や半球状のドームを作る。 ウォール・オヴ・ファイアー:10フィート以内に2d4、20フィート以内に1d4ポイントの[火]ダメージを与える。壁を抜けた相手には2d6+1/レベルのダメージ。 シャウト:円錐形の範囲内の全員を聴覚喪失状態にし、5d6ポイントの[音波]ダメージを与える。 ファイアー・シールド:術者を攻撃したクリーチャーは[火]か[冷気]ダメージを受ける。また、術者は熱か冷気から守られる。 リジリアント・スフィアー:力の球体が罠から対象を守る。 5レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 シーミング:1人/2レベルの人物の外見を変える。 シャドウ・エヴォケーション:5レベル未満の力術を真似るが、その術は20%だけ実在する。 ドリーム:眠っている者に伝言を伝える。 ナイトメア:1d10のダメージを与え、疲労状態にする夢を送り出す。 パーシステント・イメージ:メジャー・イメージと同様だが、精神集中を必要としない。 フォールス・ヴィジョン(物):念視を幻術によって欺く。 ミラージュ・アーケイナ:ハリューサナトリ・テレインと同様だが、建物が加わる。 召喚術 ウォール・オヴ・ストーン:自由な形の石の壁を作り出す。 クラウドキル:3HD以下は即死;4~6HDはセーヴ可の即死;それ以上なら【耐久力】ダメージ。 サモン・モンスターV:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 シークレット・チェスト(焦):高価な箱をエーテル界に隠す。術者は自由に取り出せる。 テレポート:術者は100マイル/レベルまでの距離に即座に移動する。 メイジズ・フェイスフル・ハウンド:幻の犬が場所を守り、侵入者を攻撃する。 メジャー・クリエイション:マイナー・クリエイションと同様だが、石や金属でも作り出せる。 レッサー・プレイナー・バインディング:6HD以下の別の次元界のクリーチャーを、仕事が終わるまで捕らえる。 死霊術 ウェイヴズ・オヴ・ファティーグ:数体の対象が疲労状態になる。 シンボル・オヴ・ペイン(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーに苦痛を与える。 ブライト:植物1つを枯らすか、植物クリーチャーに1d6/レベルのダメージを与える。 マジック・ジャー(焦):別のクリーチャーに憑依できる。 心術 シンボル・オヴ・スリープ(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを深く眠らせる。 ドミネイト・パースン:人型生物をテレパシーによって操る。 フィーブルマインド:対象の【知力】と【魅力】は1に落ちる。 ホールド・モンスター:ホールド・パースンと同様だが、どんなクリーチャーに対しても使用できる。 マインド・フォッグ:霧の中の対象は【判断力】と意志セーヴに-10される。 占術 コンタクト・アザー・プレイン:術者は別次元の存在に質問できる。 テレパシック・ボンド:仲間たちとリンクし、意思疎通ができる。 プライング・アイズ:1d4+1/レベルの浮遊する眼が偵察する。 変成術 アニマル・グロウス:動物1体のサイズを2倍にする。 エレメンタル・ボディII:術者は中型のエレメンタルに変身する。 オーヴァーランド・フライト:術者は40フィートの飛行移動速度で、長距離を速歩で移動できる。 テレキネシス:物体を動かしたり、クリーチャーに攻撃したり、物体やクリーチャーを投げたりできる。 トランスミュート・マッド・トゥ・ロック:一辺10フィート/レベルの立体2つまでの泥を石に変える。 トランスミュート・ロック・トゥ・マッド:一辺10フィート/レベルの立体2つまでの石を泥に変える。 パスウォール:木や石の壁に抜け道を作る。 ビースト・シェイプIII:術者は微小か超大型の動物の姿、または小型か中型の魔獣の姿になる。 ファブリケイト(物):原料を完成したアイテムに変える。 プラント・シェイプI:術者は小型か中型の植物に変身する。 ベイルフル・ポリモーフ:対象を無害な動物に変える。 ポリモーフ:同意した対象を変身させる。 防御術 ディスミサル:クリーチャーを元の次元界に強制的に戻す。 ブレイク・エンチャントメント:対象を心術、変成術、呪いから解放する。 メイジズ・プライヴェイト・サンクタム:24時間、対象エリアが見られたり念視されるのを妨げる。 力術 インターポージング・ハンド:敵1体との間に巨大な手が遮蔽を作る。 ウォール・オヴ・フォース:ダメージに耐性を持つ壁。 コーン・オヴ・コールド:1d6/レベルの[冷気]ダメージ。 センディング:短い伝言をどこにでも即座に送る。 総合術 パーマネンシイ(物):特定の呪文を永続化する。 6レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 ヴェイル:クリーチャーの一団の外見を変える。 シャドウ・ウォーク:影の中に入り込み、素早く旅をする。 パーマネント・イメージ:映像、音響、匂い、温度を含む永続的な幻。 プログラムド・イメージ(物):メジャー・イメージと同様だが、できごとによって作用するようにできる。 ミスリード:術者を不可視状態とし、術者にそっくりな幻を作り出す。 召喚術 アシッド・フォッグ:霧が[酸]ダメージを与える。 ウォール・オヴ・アイアン(物):30ヒット・ポイント/4レベルの壁。敵の上に倒すこともできる。 サモン・モンスターVI:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 プレイナー・バインディング:レッサー・プレイナー・バインディングと同様だが、最大12HDの来訪者に効果がある。 死霊術 アイバイト:対象は恐慌状態、不調状態、昏睡状態となる。 アンデス・トゥ・デス(物):1d4/レベルまでのHDのアンデッドを滅ぼす(最大20d4)。 クリエイト・アンデッド(物):死体をグール、ガスト、ミイラ、モーグとして蘇らせる。 サークル・オヴ・デス(物):1d4/レベルまでのHDのクリーチャーを殺す。 シンボル・オヴ・フィアー(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを恐慌状態にする。 心術 ギアス/クエスト:レッサー・ギアスと同様だが、どんなクリーチャーに対しても使用できる。 マス・サジェスチョン:サジェスチョンと同様だが、1体/レベルの対象に効果がある。 シンボル・オヴ・パースウェイジョン(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを魅了する。 グレーター・ヒロイズム:攻撃ロール、セーヴ、技能判定に+4のボーナスを与え、[恐怖]への完全耐性と一時的hpを与える。 占術 アナライズ・ドゥウェオマー(焦):対象の魔法的性質を明らかにする。 トゥルー・シーイング(物):術者は本当に存在するもの全てが見える。 レジェンド・ローア(物焦):人物、場所、物品に関する物語を知る。 変成術 エレメンタル・ボディIII:術者は大型のエレメンタルに変身する。 コントロール・ウォーター:水量を上下できる。 ストーン・トゥ・フレッシュ:石化したクリーチャーを元に戻す。 ディスインテグレイト:クリーチャーか物体1つを塵に分解する。 トランスフォーメーション(物):術者は戦闘用の複数のボーナスを得る。 ビースト・シェイプIV:術者は微小から超大型の動物の姿、または超小型から大型の魔獣の姿になる。 フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンI:術者は中型のドラゴンに変身する。 フレッシュ・トゥ・ストーン:対象のクリーチャーを石像に変える。 プラント・シェイプII:術者は大型の植物クリーチャーに変身する。 マス・アウルズ・ウィズダム:1体/レベルの対象にアウルズ・ウィズダムをかける。 マス・イーグルズ・スプレンダー:1体/レベルの対象にイーグルズ・スプレンダーをかける。 マス・キャッツ・グレイス:1体/レベルの対象にキャッツ・グレイスをかける。 マス・フォクセス・カニング:1体/レベルの対象にフォクセス・カニングをかける。 マス・ブルズ・ストレンクス:1体/レベルの対象にブルズ・ストレンクスをかける。 マス・ベアズ・エンデュアランス:1体/レベルの対象にベアズ・エンデュアランスをかける。 ムーヴ・アース:溝を掘り、丘を造る。 メイジズ・ルークブレーション:ウィザードのみ。5レベル以下の呪文を再び準備する。 防御術 アンティマジック・フィールド:10フィート以内の魔法を無効化する。 ガーズ・アンド・ウォーズ:多くの魔法的効果でエリアを守る。 グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ:レッサー・グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティと同様だが、4レベルまでの呪文の効果を防ぐ。 グレーター・ディスペル・マジック:ディスペル・マジックと同様だが、複数の対象に影響を及ぼすことができる。 リパルション(焦):クリーチャーは術者に近づけない。 力術 コンティンジェンシィ(焦):他の呪文に発動のトリガーを設定する。 チェイン・ライトニング:1d6/レベルのダメージと、1発/レベルの副次電撃。 フォースフル・ハンド:巨大な手がクリーチャーを押しのける。 フリージング・スフィアー:水を凍らせるか、[冷気]ダメージを与える。 7レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 グレーター・シャドウ・カンジュレーション:シャドウ・カンジュレーションと同様だが、6レベルまでの召喚術を真似し、60%だけ実在する。 シミュレイクラム(物):クリーチャーとそっくりな複製を作る。 プロジェクト・イメージ(物):術者とそっくりな幻を作り、しゃべらせたり、呪文を発動させたりできる。 マス・インヴィジビリティ:範囲内の対象全てにインヴィジビリティをかける。 召喚術 インスタント・サモンズ(物):準備しておいた物体を術者の手元に呼び出す。 サモン・モンスターVII:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 テレポート・オブジェクト:テレポートと同様だが、接触した物体に影響する。 グレーター・テレポート:テレポートと同様だが、距離に制限がなく、目的地以外の場所に着くこともない。 フェイズ・ドア:障壁を通して不可視の抜け道を作る。 プレイン・シフト(焦):8体までの対象が別の次元界に移動する。 メイジズ・マグニフィシャント・マンション(焦):扉が別次元のマンションに繋がる。 死霊術 ウェイヴズ・オヴ・イグゾースチョン:複数の対象は過労状態になる。 コントロール・アンデッド:術者の支配下にいる間、アンデッドは術者を攻撃しない。 シンボル・オヴ・ウィークネス(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを弱体化する。 フィンガー・オヴ・デス:1つの目標に10/レベルのダメージを与える。 心術 インサニティ:対象は永続的な混乱状態になる。 シンボル・オヴ・スタニング(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを朦朧状態にする。 パワー・ワード・ブラインド:200hp以下のクリーチャーを盲目状態にする。 マス・ホールド・パースン:30フィート以内のクリーチャーにホールド・パースンをかける。 占術 ヴィジョン(物):レジェンド・ローアと同様だが、素早く発動できる。 グレーター・アーケイン・サイト:アーケイン・サイトと同様だが、クリーチャーや物体にどんな魔法効果がかかっているかが分かる。 グレーター・スクライング:スクライングと同様だが、素早く発動でき、長く持続する。 総合術 リミテッド・ウィッシュ(物):制限内で現実を変える。 変成術 イセリアル・ジョーント:術者は1ラウンド/レベルの間エーテル状態になる。 エレメンタル・ボディIV:術者は超大型のエレメンタルに変身する。 グレーター・ポリモーフ:同意した対象をより強力な姿に変身させる。 コントロール・ウェザー:局地的な天気を変える。 ジャイアント・フォームI:術者は大型の巨人に変身する。 スタチュー:対象は自由に石像に変身できる。 フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンII:術者は大型のドラゴンに変身する。 プラント・シェイプIII:術者は超大型の植物に変身する。 リヴァース・グラヴィティ:物体やクリーチャーは上に落ちる。 防御術 シクウェスター:対象は視覚や念視に対して不可視状態になるが、クリーチャーなら昏睡状態になる。 スペル・ターニング(物):1d4+6レベルまでの呪文を術者に反射する。 バニッシュメント:2HD/レベルの別次元のクリーチャーを消滅させる。 力術 グラスピング・ハンド:巨大な手が遮蔽をつくり、押しのけ、組みつきをする。 ディレイド・ブラスト・ファイアーボール:1d6の[火]ダメージを与えるが、術者は最大5ラウンドまで爆発をとどめておける。 フォースケージ(物):内部を隔離する檻または立方体。 プリズマティック・スプレー:さまざまな効果を与える光線。 メイジズ・ソード(焦):浮遊する魔法の剣が敵を攻撃する。 8レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 グレーター・シャドウ・エヴォケーション:シャドウ・エヴォケーションと同様だが、7レベルまでの力術を真似し、60%だけ実在する。 シンティレイティング・パターン:ねじれた色の文様が混乱状態、朦朧状態、気絶状態にする。 スクリーン:幻影でエリアを視覚や念視から隠す。 召喚術 インセンディエリ・クラウド:雲が毎ラウンド6d6ポイントの[火]ダメージを与える。 サモン・モンスターVIII:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 トラップ・ザ・ソウル(物):対象を宝石の中に閉じ込める。 グレーター・プレイナー・バインディング:レッサー・プレイナー・バインディングと同様だが、18HDまでの来訪者に効果がある。 メイズ:対象を異次元の迷宮に閉じ込める。 死霊術 クリエイト・グレーター・アンデッド(物):シャドウ、レイス、スペクター、ディヴァウラーを作る。 クローン(物焦):本体が死んだとき、複製の体で復活する。 シンボル・オヴ・デス(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを殺す。 ホリッド・ウィルティング:30フィート以内の対象に1d6/レベルのダメージを与える。 心術 アンティパシー:物体か場所が特定のクリーチャーを追い返すようにする。 イレジスティブル・ダンス:対象を踊らせる。 シンパシー(物):物体か場所が特定のクリーチャーを惹きつけるようにする。 シンボル・オヴ・インサニティ(物):トリガーを設定されたルーンが近くのクリーチャーを狂気に陥らせる。 ディマンド:センディングと同様だが、術者はサジェスチョンを送ることができる。 バインディング(物):クリーチャーを閉じ込める多数の効果。 パワー・ワード・スタン:150hp以下のクリーチャーを朦朧状態にする。 マス・チャーム・モンスター:30フィート以内の対象全てにチャーム・モンスターをかける。 占術 グレーター・プライング・アイズ:プライング・アイズと同様だが、眼はトゥルー・シーイングの能力を持つ。 ディサーン・ロケーション:クリーチャーか物体の正確な場所を明らかにする。 モーメント・オヴ・プレシャンス:術者は1回の攻撃ロールか判定かセーヴに+1/レベルの洞察ボーナスを得る。 変成術 アイアン・ボディ:術者の体は生ける鉄の塊になる。 ジャイアント・フォームII:術者は超大型の巨人に変身する。 テンポラル・ステイシス(物):対象を仮死状態にする。 フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンIII:術者は超大型のドラゴンに変身する。 ポリモーフ・エニィ・オブジェクト:対象をあらゆるものに変える。 防御術 ディメンジョナル・ロック:1日/レベルの間、瞬間移動や次元間の移動を妨げる。 プリズマティック・ウォール:色彩によって多くの効果を持つ壁。 プロテクション・フロム・スペルズ(物焦):+8の抵抗ボーナスを与える。 マインド・ブランク:対象は精神的/感情的な魔法や念視から守られる。 力術 クレンチト・フィスト:巨大な手が遮蔽をあたえ、押しのけ、術者の敵を攻撃する。 サンバースト:10フィート以内の全てのクリーチャーを盲目状態にし、6d6のダメージを与える。 グレーター・シャウト:破壊的な叫びが10d6ポイントの[音波]ダメージを与え、クリーチャーを朦朧状態にする。 テレキネティック・スフィアー:リジリアント・スフィアーと同様だが、術者は球体を念動で動かせる。 ポーラー・レイ:遠隔接触攻撃で1d6/レベルの[冷気]ダメージを与え、さらに【敏捷力】を1d4ポイント吸収する。 9レベル・ウィザード/ソーサラー呪文 幻術 ウィアード:30フィート以内の全てにファンタズマル・キラーをかける。 シェイズ:シャドウ・カンジュレーションと同様だが、8レベルまでの召喚術を真似し、80%だけ実在する。 召喚術 ゲート(物):移動や召喚するために2つの次元界を繋ぐ。 サモン・モンスターIX:他次元界のクリーチャーを召喚し、術者のために戦わせる。 テレポーテーション・サークル(物):サークル内のクリーチャーを瞬間移動させる。 レフュージ(物):持ち主を術者の住居に転移させる効果を持つアイテムを作る。 死霊術 アストラル・プロジェクション(物):術者と仲間をアストラル界に投射する。 ウェイル・オヴ・ザ・バンシー:1体/レベルのクリーチャーに10/レベルのダメージを与える。 エナジー・ドレイン:対象は2d4の負のレベルを負う。 ソウル・バインド(焦):蘇生を防ぐために死んだばかりの魂を捕らえる。 心術 ドミネイト・モンスター:ドミネイト・パースンと同様だが、どんなクリーチャーにも効果がある。 パワー・ワード・キル:100hp以下のクリーチャーを殺す。 マス・ホールド・モンスター:30フィート以内の全てにホールド・モンスターをかける。 占術 フォアサイト:“第六感”が差し迫った危険を警告する。 総合術 ウィッシュ(物):リミテッド・ウィッシュと同様だが、より制限が少ない。 変成術 イセリアルネス:仲間とともにエーテル界に移動する。 シェイプチェンジ(焦):術者は特定のクリーチャーに変身し、毎ラウンド姿を変えることができる。 タイム・ストップ:術者は1d4+1ラウンドの間自由に動ける。 防御術 インプリズンメント:対象を大地の下に葬る。 フリーダム:インプリズンメントや他の効果からクリーチャーを解放する。 プリズマティック・スフィアー:プリズマティック・ウォールと同様だが、周囲全てを覆う。 メイジズ・ディスジャンクション:魔法を解呪し、魔法のアイテムを分解する。 力術 クラッシング・ハンド:巨大な手が遮蔽を与え、押しのけ、術者の敵を粉砕する。 メテオ・スウォーム:4つの爆発する球体がそれぞれ6d6の[火]ダメージを与える。
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《ダーク・アーカナイト・マジシャン/Dark Arcanite Magician》 シンクロ/効果モンスター 星7/闇属性/魔法使い族/ATK 400/DEF1800 闇属性チューナー+チューナー以外の魔法使い族・闇属性モンスター1体以上 このカードがシンクロ召喚に成功した時、 フィールド上に表側表示で存在する闇属性モンスターの数だけ このカードに魔力カウンターを置く。 このカードの攻撃力と守備力は、 このカードに乗っている魔力カウンターの数×500ポイントアップする。 また、このカードに乗っている魔力カウンター1つを取り除く事で、 フィールド上または墓地に存在するカード1枚を選択してゲームから除外する。 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。 《アーカナイト・マジシャン》のダーク版。 素材指定は闇属性指定がつき、厳しくなっている。 魔力カウンターもシンクロ召喚時に乗るのは同じだが、乗る個数は一定ではなく、ステータス上昇値も半分になっているが、守備力も上昇し、除去が破壊ではなく除外、さらに墓地からも選べると、除去の性能が上がっている。 しかし、シンクロ召喚の時に闇属性モンスターを消費しているので、魔力カウンターを自身の効果だけで補うのは好ましくない。 最低1つは乗るものの、別の手段も用意しておきたい。 関連項目 ・《アーカナイト・マジシャン》 ・フリー投稿
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (7)天才の霊感 ベランダ、そこには夜空に浮かぶ双月を見上げるウルザの姿がある。 まるで届かぬ先にいる何者かを、視線を持って射抜こうとするかのように不動の構え。 「まー、相棒、そんな落ち込むこたぁねえぜ。ありゃあスクエアクラスかもわからんね」 ベランダの一角にデルフリンガー、隣にはシュペー卿の魔法剣が置かれている。 「…私が落ち込んでいる?デルフリンガー、お前にはそう見えるのか」 「そらあ見えるさ。付き合いは長くねえが、これでも結構長生きはしてんだ」 「そうか…では、そうなのかも知れんな」 あの決闘の後、ウルザは一日を宿の部屋で過ごした。 他の者達は町にでもくり出したのであろう、今何をしているかは分からない。 今は、ただ夜になったのでベランダに出て、二つ月を眺めている。 そこに論理的な思考などありはしない。 ただ、在る様に在る。 頭の中で常に自身を苛むグレイシャンの声、それに屈することなく、己として在り続けた4000年もの年月。 在る様にして在った時間の自分と、月を見上げている自分、何も違わないはずである。 では、部屋に篭り、一人夜空を望んでいる今の自分は、普段のままなのだろうか? なるほど、これは確かに落ち込んでいるのかもしれない、ウルザ自身もそう思った。 もしも、そうであるならば、いつぶりのことであろうか。 失敗もあった、後悔もあった、しかし、落ち込むなどという感傷はいつ以来であろうか。 ワルド子爵。 彼を見ているとウルザの中で騒ぐものがあるのだ。 彼の中の何かが、ワルドを認めることを良しとしない。 これがここ数日の自分自身のらしく無さの原因であると分かる。 しかし、分かったからと言ってどうということは無い、嫌悪すべき人間はこれまでにも何人もいた。 彼らとワルド、変わらぬはずである。 それとも、ハルケギニアに渡ったことで、何かが変わったのだろうか。 「そんなに気にするなよ。ところでよ相棒、握られてるときにふと思い出したことがあるんだけどよ。 それがよお……ああん?なんだっけかな、何せ、随分と大昔のことだからな…って、あ、おい、待て、」 ウルザはデルフリンガーを鞘に収めた。 なぜか一人で、あの双子の月を見ていたいと思ったのだ。 「ミスタ・ウルザ」 果たしていかほどの時間がたっただろうか。 月夜を見上げるウルザに声をかけるルイズ。 いつかの夜の再現。 「落ち込んでいるの?」 「君にもそう見えるのかね。となると重症のようだ」 振り返らずにウルザ。 「記憶は、戻ったの?」 「………いいや」 「そう、そのうち、何とかしなくちゃね」 無言の闇。 いつもの二人、振り返らぬウルザ、その背に語りかけるルイズ。 決して話しかけてもらえない自分、そのことに腹が立った。 だからかも知れない、言わなくてもいいことを口に出してしまったのは。 「私、ワルド子爵にプロポーズされたわ」 「……そうかね、おめでとう」 おめでとう?よりによっておめでとう!?――理不尽な苛立ち。 「何よ!?負けたことをまだ気にしてるの!?」 「そんなことは無い」 「だったらこっちを向きなさいよ!」 「………」 返すウルザは無言、ただ、そこに在る。 「分かったわ!好きに月でもみてればいいわ!私はワルドに守ってもらうわ!彼はあなたなんかよりも強いんだから!」 「………」 「いいわ、今、決心したわ。私、ワルドと結婚するわ」 「………そうかね」 「!?もう知らない!何が導くよ!嘘つき!」 叫んで、ルイズが歩きだそうとした、その時。 「ミス・ルイズ!」 後ろからウルザがルイズを掴んで押し倒す。 同時に轟音、何かが砕け散る音。 煙る視界。それが晴れた時、ウルザとルイズの前に姿を現したのは巨大な岩のゴーレムであった。 そして、そのゴーレムの肩、そこには長い髪をたなびかせた誰かが座っている。 「フーケ!?」 そう、そこにいたのは二人が捕らえたはずの、フーケその人であった。 「覚えていてくれたなんて感激だわ」 「あんた今頃は牢獄の中なんじゃなかったの!」 ウルザの背後に庇われながら、ルイズが叫んだ。 「親切な人がね、もっと世の中のお役に立ちなさいって、出してくれたのよ」 よく見るとフーケの横に一人の貴族の姿、顔は白い仮面をつけているので分からない。 「それで、今日はお礼に来てくれたという訳かね」 「ええ、そうよ。本当に……素敵なバカンスをありがとうっ!!」 言うが早いか、ゴーレムが手にしていた巨大な岩がベランダに向かって投げつけられる。 それより早く、ウルザがルイズの手を掴み、部屋を飛び出した。 階段を駆け下りた先の一階もまた、修羅場であった。 多数の傭兵達がワルド達を襲ったらしく、ギーシュ、キュルケ、タバサ、ワルドが魔法で応戦している。 足を折り盾にしているテーブルの影から迎撃しているが、傭兵達は魔法の射程外から矢を射掛けている。 多勢に無勢。よく応戦しているが旗色は良くない。 ウルザとルイズは、矢を避けながら何とかワルド達が盾としているテーブルの影に飛び込んだ。 「参ったね」 ワルドの言葉に、キュルケが頷く。 「やっぱりこの前の連中はただの物取りじゃ無かったってことね」 「空を行く人間を襲撃したんだ、アルビオン貴族達の手配だとは思ったが、まさかここまでやるとはね」 「奴等の狙いはこっちに魔法を使わせることよ、精神力が尽きたところで一斉に突撃してくるわ」 ワルドとキュルケ、よく状況を把握している二人の会話。 ギーシュは分けもわからずおろおろとし、タバサはこんな時でも本を読んでいる。 「良いか諸君」 全員を見回してワルドが低い声で語り始める。 「このような任務は、半数が目的地に到達できれば成功とされる」 「囮か」 ウルザの言葉にワルドが頷く。 タバサが読んでいた本を閉じて、キュルケとギーシュ、自分を杖で指して「囮」と呟く。 それに対してウルザとワルドが頷き合う。 「行くぞ、ミス・ルイズ」 「急げ、裏口は向こうだ!」 「え?え!?ちょっとっ!」 状況を理解出来ていないルイズにキュルケが怒鳴る。 「今からあたし達が敵を引きつけるから、その間にあんた達が裏口から脱出して桟橋へ向かうってことよ!」 「そんなことしたらあんた達がっ!」 「うっさい、邪魔っ!さっさと行きなさいよ!」 キュルケに追い立てられるようにして、ルイズも裏口へ向かう。 ルイズが裏口から脱出するのを見届けてから、キュルケが口を開く。 「………なぁんて、言ってみたけど、どうしましょうかねぇ」 「こっちだ!」 ルイズ・ウルザ・ワルドの一行が一途桟橋に向かい走り続けている。 月明かりが照らす道、ワルドはとある建物の間の階段を見つけると上り始める。 ルイズとウルザも無言でそれに倣う。 そうして長い階段を上り終えると、一同は丘の上に出た。 ウルザの眼前にはあまりに大きな樹がそびえている。 巨大な、巨大な樹木が四方八方に枝を伸ばしている。 そして、その枝にはそれぞれ大きな何か……船がぶら下がっている。 「これが桟橋……」 ウルザが驚いたように声を出すと、ルイズが怪訝な顔で聞き返した。 「そうよ?何か変?」 樹木の内部は空洞になっており、各枝に通じる階段がある。 ワルドは目的の階段を見つけると駆け上がり始めた。 ルイズとウルザもそれを追いかける。 階段の先には一本の枝が伸びていた。 その枝に沿って一隻の船が停泊している、帆船のような形状だが、舷側には羽が突き出しているのが見える。 枝から伸びたタラップを伝い、ワルド達が船上に飛び乗ると甲板で眠っていた船員が起き上がった。 「な、なんでぇ?おまえら」 「船長はいるか?」 「船長なら寝てるぜ。用があるんなら、明日の朝、改めて来るんだな」 ワルドが杖を引き抜き船員の首に押し当てる。 「貴族に二度同じことを言わせる気か?僕は船長を呼べと言ったんだ」 「き、貴族様!?」 船員は顔を青くして立ち上がると、船長室へ走っていく。 暫くして、まだ眠そうな顔をした男を連れてくる、彼が船長らしい。 「なんの御用ですかな?」 「女王陛下の魔法衛士隊隊長、ワルド子爵だ。アルビオンへ、今すぐ出航してもらいたい」 「む、無茶だ!」 流石にこの発言には、寝ぼけ顔だった船長も飛び跳ねる。 「勅命である。王室に逆らうつもりか?」 「あなた方が何しにアルビオンへ行くのか知ったこっちゃありませんが、朝にならないと出航なんて出来ませんよ!」 「どうしてだ?」 「アルビオンがラ・ロシェールに最も近づくのは朝です!その前に出航したんじゃ風石が足りなくて落っこちてしまいます!」 「風石とは何かね?」 これまで黙っていたウルザが船長に尋ねる。 船長は風石も知らんのか?という顔をした後答えた。 「『風』の魔法力を蓄えた石のことさ。それで船は浮かぶんだ」 ウルザが得心したという顔で周囲を見回している、生来の知的好奇心が刺激されているらしかった。 「風石が足りぬ分は僕が補う。『風』のスクウェアメイジなら問題ないだろう」 船長と船員が顔を見合わせた、それからワルドの方を向いて頷く。 「なら結構です。料金ははずんでもらいますよ」 風石を使って船が浮かぶことを知ってウルザは驚いた。 彼はすぐさま頭の中で新たな船のデザインを始めた。 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (4)霊的直感 「お願いだよ、ヴェルダンデも連れて行かせておくれよっ!」 「駄目ったら駄目っ!何度言ったら分かるの!」 朝もやの中、ルイズとギーシュが言い争っている。 ギーシュの足元には巨大なモグラ。このジャイアントモールの扱いについての諍いである。 ギーシュは自身の使い魔であるジャイアントモール、ヴェルダンデを連れて行くと主張している。 一方のルイズは、目的地まで馬で向かうのだから地中を掘って進むジャイアントモールを連れて行くことは出来ないと主張。 お互い、一歩も譲らない主張と主張。 「そうか!分かった!君はこの僕の美しいヴェルダンデが役立たずだと思っているんだね!」 「はぁ!?何言ってるのよ!問題はそこじゃないでしょ!」 「さあヴェルダンデ!君の力を見せてやるんだ!」 「ちょっと!こっちの話を聞きなさいよ!」 ギーシュの号令でルイズに飛び掛るヴェルダンデ。 「ちょっ!止めなさいよ!この馬鹿モグラ!」 ヴェルダンデはそのままルイズを押し倒し、その鼻で体中をまさぐる。 ブラウスから、果てはスカートの中身にまで鼻を突っ込むヴェルダンデ。 「は~な~れ~な~さ~いっ!!」 暫くルイズを慰みものにしたヴェルダンデであったが、ルイズの右手の薬指、そこにある宝石を見つけると鼻を押し付けた。 「なな、何やっちゃってんのよ!この低脳モグラはっ!これは姫様に頂いた大切な指輪なのよっ!」 「ははは、分かっていただけたかな、僕のヴェルダンデはこの様に貴重な鉱石や宝石を見つけ出すことが出来るのさ!」 「それが何の役に立つっていうのよ!」 一陣の、風。 突然の突風が巻き起こり、ルイズを押し倒していたヴェルダンデの体が宙に巻き上げられた。 「ああっ!僕のヴェルダンデがっ!誰がこんな酷いことを!」 ギーシュが喚くと、朝もやの中から一人の長身の男が現れた。 「すまない、婚約者がモグラに襲われているのを見ていられなくてね…おっと、僕は敵じゃない。 姫殿下より君達の同行を命じられた、魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」 「わ、ワルドさま!?」 流石のギーシュも、押し黙る。 衛士隊の隊長に意見することは出来ない。 このトリステインにおいて、衛士隊こそ、全貴族の憧れ、その憧れに意見することなど出来ようはずが無い。 ルイズ、ギーシュ、ワルドの三人の自己紹介が済む。 三名の出発の準備は整い、後は旅立つのみである。 「ところで………君の使い魔殿はどうしたんだい?」 「ワルドさま、私の使い魔がメイジだとご存知なのですか?」 「ははは、君が土くれのフーケを捕まえた話は聞いているよ。その時に知ったんだ」 「まあ、そうでしたか。 ミスタ・ウルザ出発する為の足を用意してくると言って、何処かに…」 「待たせたね、ミス・ルイズ」 朝もやの中から現れる長身。それもワルドと同じくらいの丈の、初老の老人の姿。 白髪白眉白髭の色眼鏡、手には杖、服装はメイジのようなローブ、背中には剣を二本背負っているようだ。 「ワルドさま、彼が私の使い魔、ミスタ・ウルザです」 ワルドは一目見て、この男が自分とは相容れない存在と直感した。 直感―――この男が気に入らない―――という、本能的な嫌悪。 「初めまして、ワルド子爵です」 手を挿し伸ばす。 ウルザは一目見て、この男が自分の障害となる存在だと直感した。 直感―――この男は邪魔になる―――という、予知じみた霊感。 「ああ、初めまして、ウルザだ」 差し出された手を握り返す。 互いに己の本心は臆面も出しはしない。 これが長く因縁となるウルザとワルド、最初の出会いである。 「随分と時間がかかったのね、ミスタ・ウルザ。 それにこんなところに馬を連れてきたなんて…素直に門まで連れてきてくだされば良かったのに」 ルイズ達はウルザに連れられて、裏庭へと向かっていた。 「持ち主の了承を取るのに時間がかかってしまってね、それに多少の準備もあった。」 「だったら最初からちゃんと説明してく、」 「今回の足は、これを使わせてもらう」 そういったウルザが指差す先、そこには何か大きなものが置かれているようであった。 風が吹き、朝もやの中から影の正体が現れる。 果たして、そこにあったのは先日コルベールが完成させた機械であった。 あえて形容するなら骨組みと羽、それに箱で構成された朽ちた飛竜。 「ミスタ・ウルザ、これは何? 見たところ………羽のある機械のようだけど」 「これは、羽ばたき飛行機械という魔法と機械の融合したアーティファクトだ」 「飛行機械…というと、これが飛ぶっていうの?」 「ああ、飛行実験はこれからだがね」 結局、羽ばたき飛行機械にルイズを乗せることをワルドが反対したので、ウルザ・ギーシュが飛行機械、ワルド・ルイズがワルドのグリフォンに乗るという運びとなった。 「さあ、最初の目的地は港町ラ・ロシェールだ!」 ワルドが叫び、幻獣グリフォンが空へと舞い上がる。 一方の羽ばたき飛行機械。 「振り落とされないように、しっかりと捕まっていたまえギーシュ君」 「あ、ああ…」 まずは、ゆっくり飛行機械の羽が動き始める。 その姿は、骨組みだけのドラゴンが、空を舞おうと羽ばたこうとしているようであった。 羽ばたきによって強い風が巻き起こる、まるで風の精霊が降り立ったかのよう。 そうしているうちに、徐々に飛行機械が浮き始める。 一度浮き始めると、そこからは早く、力強く羽ばたく機械が先行していたグリフォンに追いつくまで、そう長い時間を必要としなかった。 それから半日近く、ルイズ達は空を飛び続けていた。 流石は魔法衛士隊の隊長が騎乗するグリフォン、疲れ知らずのタフな幻獣である。 その間、グリフォン上の人であるルイズとワルドは思い出話に花を咲かせていた。 「僕にとっては未だに小さな女の子だよ」 「いやですわ、ワルドさまったら」 「僕は家を出る時に決めていたんだ、立派な貴族になって、必ず君を迎えに行くとね」 「ワルドさま……でも、私…」 「ルイズ…僕の小さなルイズ、君は僕が嫌いなのかい?」 「そんなことは…」 「僕を嫌いじゃなければ、信じて欲しい。僕は君を迎えに来たんだから」 ―――私が君を導いてあげよう――― 突然フラッシュバックする、夢の一場面。 顔を赤らめて、慌てて俯くルイズ。 羽ばたき飛行機械。 そこには沈黙に押し黙るウルザとギーシュの姿。 しかし一方のギーシュは、この数時間、何か口を開きかけては閉じる、そんなことを繰り返していた。 「………ギーシュ君、何か、私に言いたいことがあるのかね?」 「………別に」 「そうかね」 再び沈黙、このまま到着まで終始無言かと思われたとき、意を決したギーシュが口を開いた。 「謝ろうと、思っていたんだ………」 「…謝る?」 「決闘の時の件だよ、あのことを、謝ろうと思っていたんだ…」 「………」 「意識が戻ってからモンモランシーに酷く叱られてね、僕がどれだけ馬鹿なことをしようとしていたか、思い知らされたよ」 「…謝るなら、私にではなくあの平民の娘とコック長にだろう」 「その二人には、もう既に謝ったよ…」 「そうか」 「だから、………あなたにも謝ろうと思って」 「私は何も怒ってはいない、君が反省しているというなら、後は君自身の問題だろう」 「……はは、まったくその通りだね、以後気をつけるよ。 それにしても、あの時の熊は恐ろしかったよ、何せ、」 「ギーシュ君、客のようだ。話はそこまでにして、口を閉じていたまえ」 地上から、空を行くものへ矢が射掛けられたのは、その時であった。 射掛けられる大量の弓矢、回避行動を取るウルザであったが、その数本が羽ばたく羽に突き刺さる。 平行を欠き、傾ぐ羽ばたき飛行機械。 「ミスタ・ウルザ!奇襲だ! 敵は私が引き受ける、あなた達は先に目的地へ! ラ・ロシェールは街道沿い、峡谷に挟まれた場所にある!」 旋回して敵を迎撃する態勢をとるワルド。 「分かったワルド子爵! こちらは先に向かわせてもらう。苦戦するようなら後ろの者達に協力を仰ぐといい!」 それ以上は耐えられないとばかりに、目的地に向かって徐々に高度を落としながら全力で飛行するウルザ・ギーシュ。 目的地ラ・ロシェール。 アルビオンへの玄関口は、すぐそこである。 これがウルザとワルド、その出会いの最初の1ページ ―――ギーシュ回顧録第三篇 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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―――280年12月下旬 ―――月匣内 紅い月が昇るその空間。 そこは、月匣と呼ばれる。 生命の力を吸い尽くすために、侵魔が展開する結界。 そして今。 その結界の中には、一組の少年少女がいた。 「………来た。ご主人様、気をつけて」 「…気をつけてどうにかなるならそうするけど」 少年―――北郷一刀と、呂布奉先の名を持つ少女。 二人の視線は、同じ場所に向いていた。 先ほどした、獣のような声。 声の主は、黒い犬。 犬は犬でも、その大きさは尋常ではない。 獅子より巨大な犬。 いや、犬と呼ぶのも語弊がある。 それは、化け物だ。 「…見逃してくれるかな?」 「…………たぶん、無理」 「…逃げる?」 「…」 一刀の言葉に、呂布はこくり、と頷く。 同時。少女は少年を抱えて。 「うわっ!?」 「……ご主人様。口は閉じてて」 駆け出した。 ■■■ ―――同刻 ―――??? 「あら、まだこんなところにもいたのね。 あの忍者以外、このあたりに残っているウィザードなんかいないと思ってたけど」 少女の姿をしたソレは、手にした手鏡を弄ぶ。 そこには、月匣の中を、少年を背負い駆ける少女が写っている。 「それともイノセントかしら。 どっちでも、あのプラーナは魅力的ね…面白くなってきたじゃない」 と、そこで手鏡に映っている映像が変わる。 写ったのは、寝ている男。 隣にいる女が、男の頭を殴って、男は体を起こす。 そんな映像を見て。 「…ふふっ。やっと来たわね」 優雅に足を組み、侵魔の王は微笑んだ。 ■■■ 『ウィザード無双~武将だらけの三国志魔法大戦~』 オープニングシナリオ・後編「目覚めと謀」 ■■■ ―――280年12月下旬 ―――月匣内 駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。 わき目も振らず、少女は走る。 思いはひとつ。 ただ、『ご主人様』を安全な場所へ。 自分に居場所を与えてくれたご主人様。 自分を怖がらなかった、ご主人様。 恋の大好きな、ご主人様。 ご主人様を傷つけるわけにはいかない。 きっと、愛紗は髪を逆立てて怒るだろう。 もしかしたら、星や鈴々、翠だって怒るかもしれない。 それは、いやだ。 怒られるのもいやだし、ご主人様が痛い思いをするのも嫌。 だから、少女は走る。 「…恋!おい、恋!!」 真名。 本当に大切に思っている人にだけ呼ぶことを許す、自分の本当の名前を呼ばれ、呂布は自分の手元に目を落とす。 すると。 恋の大切な人が、ひどく汚れていた。 「ご主人様。ボロボロ」 「恋が引きずったの! …じゃなくて。 いくら逃げても無駄みたいだぞ、ここ」 「…?」 やっぱり気づいてなかったか、と 一刀は溜息をつき、汚れた制服のまま立ち上がる。 あれだけ走ったのに、まったく風景は変わっていないのだ。 紅い月も。遠くに見える山も。 そして、そこら中に散らばっている矛や鎧の残骸も。 何一つ、変化していなかった。 「わかった?」 「…………」 子供に諭すような言葉にこくり、と頷く恋。 一刀は、頷くまでの時間が短かったことに安心して、もう一度周囲を見渡した。 「しかし、何なんだ、これ」 「…わからない」 先ほど繰り返された問答をもう一度。 その後口を開いたのは、恋だった。 「でも。 変な感じ。まるで、生きてる感じがしない」 「うーん」 言ってみれば、異常に過ぎる状況ではある。 とはいえ、二人とも随分と落ち着いていた。 「身一つで放り出されたあのときにくらべれば、どうってことはないか」 「……………?」 首をかしげる恋。 そんな彼女に、一刀は頭の上に手を置き。 「頼りにしてるってことだよ」 「…」 一瞬、恋が瞳を揺らめかせ。 そして、恥ずかしげに視線を逸らす。 少女の愛らしい反応に、一刀はこんな状況だというのに笑みを抑え切れなかった。 「…さて。どうしよう。 朱里に聞きたいところだけど…」 「今は、いない」 「恋。やれるか?」 「………………………」 しばらくの逡巡の後、恋は頷く。 その微妙な間に、一刀は迷う。 「あの」呂布奉先が、勝つとは言い切れなかったのだ。 ならば、逃げるか―――と考えた、その刹那に。 「……大丈夫。ご主人様は、私が護る」 え、と言葉を発する間もなかった。 三国一の武の使い手、と呼ばれたその少女は。 再び、疾風のごとく、走り始める。 「恋っ!?」 速い。わずか数秒の間に、恋の背中は小さくなっている。 「くそっ…!!」 悪態をつき。 小さい背中を追って、一刀もまた、走り始める。 ―――280年12月下旬 ―――月匣内 足を前に。息を切らせ。全力で。 地を踏みしめ、走る。 が。全く少女の背中は大きくならない。 むしろ、小さくなっていく一方だ。 当たり前といえば、当たり前だ。 自分はただの学生。 少し愛紗や星に手合わせしてもらうこともあるとはいえ、その体力はただの人間の域を出ない。 だが、恋は違う。 三国無双、呂布奉先。 足は疲れることをしらず、腕はあの巨大な戟を手に抱き続け。 兵万人に値する関羽と張飛という二人の将。 彼女らを相手に、余裕を持って戦うことすらできる。 「だからって…!」 その先の言葉は、息が切れて口にはできない。 情けなさすら思い浮かばない。 一刻も早く彼女のもとへ。 ただひとつ、その思いを核にして、走る意志を奮い立たせる。 何かができるわけでもない。 だけど。あの、あまりに考えなしで、純粋な彼女に、せめて、退くときの判断を誤らせたくはなかった。 「―――!!」 いつの間にか、視界の中で、彼女の姿が大きくなっていた。 その先にいるのは、獣。 黒い獣。 恋は、その獣と素手で渡り合っている。 勝負は、互角。 獣を爪を、恋は軽やかにかわし。 次々と拳を叩き込んでいる。 あるいは、獣を追い詰めているのかもしれない。 化け物相手に、恋が優位に立っていること以上に、恋が無事である事実に一刀は安堵した。 が、その安堵も長くは続かなかった。 獣の口に、炎。 そして、その炎が、急激に大きくなっていく。 「…!」 恋の顔は見えない。 だが、その挙動はどこか戸惑っているようにも見えた。 まずい。あれが、あの炎が。 彼女を、包んだら。 「…恋!」 声は届いた。 彼女はこちらを向く。 同時、その火が、少女に向かって。 「恋――――――っ!!」 何も考えず。届くはずのない手を、一刀は伸ばした。 …その瞬間。 北郷一刀の中で、何かが、変わった。 ―――280年12月下旬 ―――月匣内 届くはずがない。 当たり前だ。 く、と吐き出した息を引き戻そうとするが、肺に空気は入らない。 気が遠くなる。酸素が足りない、とは理解できなかった。 ただ、意識もせずに、前に足を進めようとして。 「げほっ!?」 衝撃。そして視界の回転。 体中に感じたのは、地面の感触だった。 考えるより先に起き上がろうとしたが、動かない。 自分の上に、錘が乗せられているような。 ふに。 「…ふに?」 どこか感じた覚えがあるような。 いや、毎日相手は違えど味わいつくした感覚が、何か。 「…………ご主人様?」 「…へ?恋?」 聞き覚えのある声に。ただ、相手の名前を返すだけ。 背中の感触は、少女の肌のもの。 何が起こったのかはわからない。 何で、どうして、自分の背中に恋が移動したのかはわからない。 ただ、どうやら。 「良かった…無事なんだな」 「………?」 どこか、首をかしげるような気配。 一刀はすでに疲れ果てた体で、ただ溜息をつく。 安心した後で。 「でも、何でだ?いったい、何が」 「…わからんな。お前さんの『月衣』を通ってきたのかもしれんが。 あるいは何かしらの力で空間をつなげたか。 ま、覚醒したばかりのウィザードにはよくあること…だな」 返ってきたのは、男の声だった。 「へ?」 「しかし、魔物使い…かよ。 そっちの嬢ちゃんは魔物には見えないが…な」 そこにいたのは、声の通り、男性だった。 妙な間をとったしゃべり方。 腰には剣を二本。 細い目は狐のようにも見える。 「………」 そこで、背中が軽くなっていることに気づく。 見れば、恋が。自分と男の間に立っていた。 「……………」 「…と、待て待て。 お前さんとご主人に危害を加えるつもりはない。 俺はウィザード…ってもわからんか。 とりあえず、あの化け物を倒して、この『月匣』からお前さんたちを出すために来た」 何を言っているかはわからないが。とりあえず。 「大丈夫。嘘は言ってない」 その言葉尻は、比較的やわらかいものだった。 恋がそう言うなら間違いはないのだろう。 あのわけのわからない説明が嘘かどうかはともかく、恋が敵意を顕にしてないのなら、多分大丈夫だ。 と、そこで。 何度目とも知れぬ獣の声がした。 空気を震わせる、轟音。 思わず、その音に目をしかめ、体を震わせてしまう。 雷と同じだ。 巨大な音は、それだけで人の動きを止める。 が、どこからともなく現れた、謎の男は。 「さて。 自分が請け負った仕事ぐらいはせんと…な」 表情を揺るがすことなく、そう言った。 ―――280年12月下旬 ―――月匣内 地を蹴って、巨大な犬が迫りくる。 その瞳にあるのはこちらへの敵意だけ。 碌な知能は感じられない。 「『地獄の猟犬』…か。 てめえがルーラーじゃないことはわかってる。時間はないんでな」 言葉とともに、男の呼吸が変わる。 深く、長い呼吸が紡がれる。 そして、その呼吸に合わせるように、男の体から、燐光が浮かび上がった。 「な、何だ…?」 「……………?」 若い主従の驚きに。男は、ニィ、と口元に笑みを浮かべる。 再び呼吸が、元の拍へと戻っていく。 が、光は消えない。 むしろ、収束され、光は輝きを増していく。 『気功』。 一部の間でそう呼ばれる能力によって凝縮された生命力は、男の体に纏わりついてゆく。 その形状は、蛇か―――あるいは。 まさしく、龍のように。 「――――――!!!」 その時にはすでに、黒い巨犬は数歩で男に飛びかかれる位置に到達していた。 獣にとっては、男は餌の前にいる障害物にすぎない。 一振りで吹き飛ばし、その後に食事をするつもりなのだろう。 だが、その障害物は、ただの人間ではない。 「…!」 先手は、最初から男のものだった。 獣が襲い掛かり、爪を振るうその前に、静かに間合いを詰め。 飛んだ。 光が、男から零れ落ちるようにして残像を描き出す。 獣が男の動きに対応するより前。 いや、驚きという感情を生み出すよりさらに前に。 男の足は、獣の頭に叩き込まれた。 「!」 ご、という音。 硬く、そして何かが砕けた音が生じる。 獣の頭は潰れ、体から力が失われる。 直後。 黒い獣―――ヘルハウンドの体は、まるで、雲を散らすように消え去った。 たん、と軽い音がしたのは、その後。 長い滞空を経て、男が地面に降りた音。 「…と。さて、後はコアかルーラーを潰して…」 息をついた後。男は何気なくあたりを見渡し、眉をひそめた。 「ん?」 空に浮かんでいた、紅い月はいつの間にか消え去っている。 空間が、揺らめき。 数秒後。 男と少年、少女がいたのは、近くに城壁が見える、ごく普通の街道だった。 「もうやったのか…やれやれ、仕事が早い」 戸惑う少年と少女を他所に。 男は、いつものように笑みを浮かべていた。 ―――280年12月下旬 ―――北海周辺 「…い、今目の前で起こったことをありのままに話すぜ。 恋と一緒にいちゃいちゃして寝たと思ったら、いつのまにかそこは見覚えのある平原になっていて ちょっと戸惑ってたらみょーな真っ赤な空間にいてさらには黒い化け物がいて 恋が黒い化け物と戦って危ないと思って声をかけたらいつの間にか恋が上にいて 今度は変な男が来て化け物を蹴り飛ばしたと思ったら化け物は消えて 俺は恋と一緒に馬に乗っている…。 な、なにを言っているのかわからねーと思うが俺も何を言っているのかわからない…。 催眠術とか時をとめる能力とかそんなちゃちなもんじゃねー…。 もっと恐ろしい物語の展開上の都合とかそういったものを感じざるを得なかったぜ…」 「………ご主人様」 どこかかわいそうなものを見るような目で一刀を見る少女。 一刀の言葉通り、彼は恋とともに、馬に乗っていた。 手綱を取っているのは恋で、彼らが乗っている馬の横には、もう一匹の馬がいる。 その馬には、やはり同様に、男女が一緒に乗っていた。 「そこの嬢ちゃんの言うとおり落ち着けって。 どうせなるようにしかならんさ」 「そこのオッサンも少しは説明しようよ!?」 「ああ。だから飯でも食いながら説明するさ。 こんなところで立ち話しても落ち着けるわけないだろ」 「…お腹、すいた」 「むむむ」 そう恋に言われてしまうと、一刀としては何を言うこともできない。 とはいえ、状況もわからないのに、助けてもらったとはいえ見知らぬ人間についていくのはどうなのだろうか。 恋はすでに食欲にとりつかれているし。 「気をつけろ。こいつはこうやって人を利用していくんじゃからな」 「…ご忠告どーも」 さっき獣と蹴飛ばした男の後ろ、一緒に馬に乗っている女性。 その女性の言葉に、一刀は投げやりな言葉を返す。 と、そこで男が、手綱をとった手をそのままに、後ろを振り返った。 「人聞きがわりいな。 今は嘘を言ってないぞ。飯をおごるのも本当だし、状況を説明するのも本当だ」 「ふん。その後何を頼むかは言っとらんじゃろうが。 目覚めたばかりのウィザードに、何を吹き込むつもりじゃ、お前は」 「真実だよ。この世界の。 ま、この二人がこの世界の人間とは限らんが…な」 言って、男は視線を前に戻す。 一刀は、二人の会話を右から左に聞き流しつつ、空を見た。 空は青い。 そして、異様に広い。 見慣れた日本の空とは大違いだ。 「なあ、恋。 これから、どうする?」 「…ごはん」 予想通りの言葉。 だが、今は、そんな変わらぬ彼女が、彼の支えになっているのだった。 「…はぁ。皆、どうしてるかな…」 言って。彼は、共に住む少女「達」のことを頭に思い浮かべていた。 ―――280年12月下旬 ―――??? その存在は、可愛らしい笑みを浮かべ、手鏡を閉じた。 「…まさか、新しいウィザードが二人加わるとはね。 これで、北海のウィザードは、五人。 あの夢使いもおそらく加わるでしょうし…ふぅん。 エミュレイターとウィザードとしても、都市同士の攻防戦としても、割と互角の戦いができそうじゃない。 流石は徳の人、劉備ってところかしら」 くすり、と声を立てた後、少女の姿を模した魔王は、立ち上がる。 目指すは下ヒ。 わざわざ芽を蒔いたのだから、それを収穫しなければ。 「さあ、ゲームの始まりよ、劉備玄徳。 あの逃げ出した夢使いと、下ヒの人々を。貴方は、助けてあげられるかしら…?」 ← Prev Next →